NPO法の適切な運用等に関する検討会報告(平成15年2月4日)概要
市民活動の一層の発展を目指したNPO法の運用のあり方について~論点整理~
(「NPO法の適切な運用等に関する検討会」報告)について
平成15年2月4日
内閣府国民生活局
検討の趣旨
平成10年12月に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて4年が経ち、平成14年末現在で9,329のNPO法人が設立認証を受け、各地で様々な活動を行っている。このように、市民による自由な社会貢献活動を行う団体に法人格を付与するNPO法人制度が定着しつつあり、新たな公益の担い手としてNPO法人への期待が高まっている。
一方、認証審査の際に法定要件を満たしているかどうかの判断が必ずしも容易でないケースも少なくなく、また法人格取得の方法が簡便なNPO法人制度の濫用も懸念される。NPO法が想定していない活動を行う法人が実際に数多く現れてくると、21世紀社会の担い手として期待される市民活動全体の健全な発展が阻害されかねない。
こうした問題意識の下、市民活動の一層の発展を促進することを目的に、NPO法の立法趣旨・理念に則り、適切な運用を行う上での必要かつ最低限の対応について検討を行った。本報告は、内閣府国民生活局内に設置された「NPO法の適切な運用等に関する検討会」(座長:升田純 聖心女子大学教授)における検討結果である。
報告のポイント
NPO法は、法人運営の自主性を尊重し、行政の関与を極力抑制することとし、裁量の余地を原則的に排除するとともに、NPO法人は、自らに関する情報をできるだけ公開することによって市民の信頼を得て、市民によって育てられるべきという考えに立脚している。
こうした立法趣旨・理念に則り、市民活動の一層の発展を促進する上での適切な運用のあり方として、以下の点を提言している。
第1は、法定要件への適合性の一層の明確化等である。
- 法定要件に適合していることを申請側が積極的に示すことが求められており、また運用の透明性を確保するため、特定非営利活動が主たる目的であることや営利目的でないこと
- 暴力団等排除の実効性を確保するため、本年5月から施行される改正NPO法に基づく的確な運用を行うこと。
第2は、NPO法人の説明責任と「市民によるチェック」機能の一層の発揮である。
- NPO法の情報公開制度について実効性をより確保するため、インターネットを活用した縦覧・閲覧書類の電子化による情報公開を進めること。
- 報告徴収等監督手続の段階においても、「市民によるチェック」機能のより積極的な活用を図ることが望まれ、法令違反等の疑いのある相当な理由がある場合などの各段階において、先ずは当該NPO法人に対して広く市民に自主的な説明を求める要請を行い、市民によるチェックと自主的な改善効果を期待するという対応を採ること。
「NPO法の適切な運用等に関する検討会」委員名簿
座長 升田 純 | 聖心女子大学教授 |
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石川 敏行 | 中央大学法学部教授 |
大村 敦志 | 東京大学法学部教授 |
中田 裕康 | 一橋大学法学部教授 |
報告書