共助社会づくりシンポジウム in 関西 開会挨拶


共助社会づくりシンポジウム in 関西 西村 康稔(内閣府副大臣)西村 康稔(内閣府副大臣)
今回のシンポジウムの主催をしている内閣府で市民活動、共助社会づくりを担当しております西村康稔でございます。本日は、土曜日にもかかわらず、たくさんの方に集まりいただき、心から感謝申し上げます。

私は経済財政政策全般も担当しておりますが、アベノミクスは、大企業向けのものではないか、あるいは大都市ばかりに恩恵があって地方には恩恵が来ないという声をよくいただきます。しかし、安倍総理がいつも仰っているように、全国津々浦々まで将来に向かって希望を持てるようにアベノミクスの成果を届けていくという方針で我々は政策を作り、実行しています。私も地方の声を聞くために、安倍総理の指示を受け、全国各地をできる限り回っています。この一年間で20数か所回りまして、全国の様々な方とお話をし、その声を受け止めて政策に反映しております。

もう一つ、アベノミクスはグローバル化の中でイノベーションを生み出すことや世界で活躍するトップリーダーの育成に一生懸命で、そういう人たちばかり応援しているという声もいただきます。もちろん、日本ひいては世界が発展するためにイノベーションを起こすことやグローバルで活躍できる人材育成は必要です。その一方で、全ての人が世界で活躍するトップリーダーになれるわけではない。それぞれの立場で、それぞれの地域のニーズに応える形で自分の能力を発揮して、地域を支え、社会を支えているという方々がたくさんいらっしゃいます。人口減少が進む中、財政に余裕が無いということもあり、このような方々の活動を支え、頼りにしながら、人と人のつながりを大事にして支え合う社会、いわゆる共助社会をしっかりと地域に作っていこうという議論を始め、今回の骨太の方針の中にもその一端を盛り込んでおります。

阪神・淡路大震災が発生して20年目を迎えるわけですが、大震災を機に、皆さんが何か自分にできることは無いかと考えて行動し始め、ボランティア活動が盛んになった、この神戸の地で、共助社会づくりシンポジウムが開催されることを本当に嬉しく思います。

阪神・淡路大震災をきっかけとしてNPO法ができて15年になりますが、現在5万近くのNPO法人があります。内閣府のNPO法人に関する世論調査によると、NPO法人を信頼できるかという問いに対し、平成17年では3割の方しか信頼できると答えていなかったのが、25年の調査では6割を超えるようになり、広くNPOの活動が認識され、信頼されるようになってきたと言えます。しかし、NPO法人に寄附をしたいという人は23.2%、活動に参加したいという人は17.5%です。つまり、NPOの存在も分かったし、活動も信頼できるが、実際に寄附をしよう、活動に参加しようというところまではもうひと押し何か必要なわけです。ぜひ、本日お集まりいただいた皆様に闊達な御議論をいただいて、そうしたもうひと押しをどうやって広げていくのかを御提案いただければと思います。

また、日本でも休眠預金を行政の予算で手当てされていない光の当たらない活動に使い、それにより地域が活性化し、人と人とのつながりが広がっていくことができるよう、議員立法の動きが高まっておりますので、私どももその動きをサポートしているところです。併せて、単にそうしたお金に加え、市民の皆様の様々なお金も含めて、社会的な活動を支える市場、マーケットを作ることも考えております。折しも2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。東京だけが賑わっておしまいにならないように、地方にこの賑わいが広がっていくように、ある国の方に対してはある県または市がホストするというホストシティ、ホスト県という仕組みを作ることも考えております。さらに、これを契機に、我が国の寄附文化を醸成しようという取組も行っていきたいと考えております。今日のシンポジウムが、ぜひそうした大きなうねり、流れにつながるものであっていただきたいと思いますし、ぜひ皆様の御意見が大きな一歩につながり、有意義なシンポジウムになることを祈念して私の挨拶とさせていただきます。


金沢 和彦(兵庫県副知事)

共助社会づくりシンポジウム in 関西 •金澤 和夫(兵庫県副知事)
本日のシンポジウムの副題にありますとおり、阪神・淡路大震災から20年が経ちました。阪神・淡路大震災が起きた当時、今日のように「共助社会」という言葉は使われていませんでしたが、被災地では隣同士、知り合い同士が助け合わなければならず、そのようなやむにやまれぬ状況の中で「共助」という考え方は自然に生まれました。

阪神・淡路大震災では、建物の下敷きになった方の8割は自力で脱出し、16%を近隣住民が救出、警察や消防など公的救助機関によって救出された方はわずか4%でした。大規模災害では公的救助機関の果たせる役割には限界があり、おのずと自助、共助に頼らざるを得ないということを私達は大きな犠牲を払って学んだのです。

さらに、災害の時だけではなく、福祉を含めた社会全体のあり方に対しても、「自助、共助、公助」の最適な組み合わせがあって初めて、本当に安心して暮らすことができる社会が作れるのではないかということが意識されるようになりました。共助社会について考えるすべてのスタートとなった阪神・淡路大震災の被災地、神戸で、本日のシンポジウムが開催されるのはそのような意味があると受け止めています。

実は江戸時代、米沢藩の上杉鷹山が「自助、互助、扶助の3つがあって初めて藩の治世がうまくいく」と述べています。そういう意味では、日本社会には「自助、共助、公助」が風土に根差したものとしてもともと息づいているのではないか、そう考えますと、改めて私たちが意識をもって取り組んでいけば、地に足のついた「自助、共助、公助」の最適な組み合わせが実現できると考えます。

本日は、共助も災害だけに特化せず、社会一般のあり方として寄附文化やソーシャルビジネスについても議論されると聞いています。阪神・淡路大震災の被災地で暮らす私達にとって、更に視野を広げて社会のあり方を考えるシンポジウムになるのではないかと思います。参加の皆様にとって有益で実りあるシンポジウムになることを心からお祈りし、貴重な場を設けていただいた関係者の皆様にお礼を申し上げて、兵庫県を代表してのご挨拶とさせていただきます。


久元 喜造(神戸市長)

共助社会づくりシンポジウム in 関西 久元 喜造(神戸市長)

まず、この共助社会シンポジウムを神戸で開催いただきありがとうございます。

来年で阪神・淡路大震災から20年になります。この間、神戸市民は互いに助け合い、励まし合い、力づけながら、この苦難を乗り越え、再生を図ってきました。一方で、このような神戸の街でも無縁社会と呼ばれる闇が広がってきています。一例をあげると、市営住宅でひっそりと亡くなられる高齢の方がいます。また、身寄りのない場合や、残念ながら実の子供がいても一切かかわりたくないという反応があるのも事実です。そういう中で、神戸には地域社会のために、人と人を結びつける絆をつくっていこうとして活躍している地域の方々やNPO法人もたくさんあります。地域のためにがんばろうと思っている方、助けを求めながらも地域や社会に背を向けている方など様々な方がいる中で、共助社会をどのように作っていくのか。大変難しい課題ですが、本日のシンポジウムで指針となるような考え方が示されると大変ありがたいと考えております。

西村副大臣がおっしゃったように、共助社会づくりに向けてもうひと押しする取組も必要です。本日のパネルディスカッションで議論されるソーシャルビジネスもそのやり方の一つかもしれません。神戸市では、パネルディスカッション②で登壇される森田拓也氏を中心にソーシャルビジネスの取組みも行っており、そういった具体的な議論もしていただきたいと思っています。

最後になりましたが、ご出席いただいた皆様方に、そして神戸で開催をしていただいたことに重ねてお礼を申し上げて、挨拶とさせていただきます。

 

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