経理・会計
質問一覧
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質問と回答
2-4-2 「その他の事業」により赤字が生じた場合はどうなるのですか。 【第5条1項】
法第5条第1項において、その他の事業は、特定非営利活動に係る事業に支障がない範囲で行うことができると規定されています。それゆえ、必ずしもその他の事業の開始の初年度から黒字が見込めるとは限りませんが、2事業年度継続して多額の赤字が生じるような場合は、所轄庁による報告徴収・立入検査の対象となる可能性があります。
2-4-3 その他の事業から生じた利益は、すべて特定非営利活動に係る事業に繰り入れなければならないのですか。 【第5条1項】
法第5条第1項で、その他の事業において利益を生じたときは、特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならないと規定されていることから、その利益は特定非営利活動に係る事業に繰り入れなければなりません。
2-4-4 区分経理を行わなければならないのはどのような場合ですか。 【第5条2項】
NPO法人は、一定の要件のもとで特定非営利活動に係る事業(本来事業)以外の事業(その他の事業)を行うことが認められています(法5【1】)が、その他の事業を行う場合には、その他の事業に関する会計を本来事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければなりません(法5【2】)。
これは、(1) その他の事業によって得られた利益が本来事業に充てられたこと、また、(2) その他の事業が本来事業に支障がないこと、という法律上のその他の事業についての要件を確認できるように定められたものです。
ただし、従来のように計算書類等を別葉表示するのではなく、活動計算書(予算書)において別欄表示することとします。また、その他の事業に固有の資産(在庫品としての棚卸資産等)で重要なものがある場合や、按分を要する本来事業とその他の事業に共通な資産で重要性が高いと判断される資産については、計算書類の注記にその内訳を記載します。
2-4-5 所轄庁へ提出する書類のうち、収支計算書については、複式簿記(発生主義)を前提とした活動計算書に改めることとされているが、現金主義での会計処理を行っている法人は、発生主義による複式簿記での処理を行わなければならないのですか。 【第27条】
活動計算書作成の基本となる「複式簿記・発生主義」による会計処理への移行については、平成23年改正法附則第6条第2項において、当分の間、従来の収支計算書を活動計算書として作成、提出できるものとしていますが、法人の財務的生存力をより把握しやすくするために収支計算書から活動計算書へと 変更された改正の趣旨を鑑みると、各法人においてでき得る限り速やかに移行することが望ましいと考えます。
また、定款上の文言の修正については、当該法人における会計処理の現状に合わせ、実際に収支計算書から活動計算書に係る会計処理へと移行した際に行えばよいものと考えます。
2-4-6 計算書類に「基金」を計上する場合、どのような勘定科目として取り扱えばよいですか。 【第27条3号】
質問のケースの「基金」が、仮に奨学金事業を行う際の奨学資金としての位置付けのものとした場合、貸借対照表における「○○特定資産」に該当するものであると考えられます。
活動計算書には、その受入の性質にもよりますが、「受取寄附金」の細目として計上することが考えられます。
2-4-7 信用金庫から融資を受ける際に「出資金」を支払いましたが、これは適切なものとして取り扱ってよいですか。 【第27条3号】
信用金庫は、信用金庫法第53条により「会員に対する資金の貸付け」ができ、この会員とは同法第11条により 「出資一口以上を有し」ているものを指していることから、当該出資金は融資を受けるに当たって必要な経費であるといえます。
この場合の仕訳は「(借)出資金/(貸)現金」とし、貸借対照表における資産として計上します。
なお、正味財産の増減に影響を及ぼすものではないため、活動計算書には表示されません。
2-4-8 NPO法人の代表が取締役を務める株式会社において、金融機関からの融資を受けるに当たって、NPO法人が所有する土地に抵当権を設定する場合、当該行為は利益相反事項に当たりますか。 【第17条の4】
利益相反に当たる取引には、(1) 法人の代表者が自己または第三者のために法人と行う取引(直接取引)と、(2) 法人と第三者との間の取引で、実質的に法人と法人の代表者との利益が相反する取引(間接取引)があります。
お尋ねのケースは後者に該当するため、代表者が直接契約に携わることはできず、特別代理人を選定する等の手続が必要となります。
2-4-9
施設改装費に使用する目的で、会員から一口10万円以上の貸付を募り、貸付を行った会員の入会金及び年会費を免除している法人があり、「法人は年1%の利息を付けた上で、貸付金を7年後に会員に一括返済する」として金銭消費貸借契約を締結しています。
上記行為は、法第2条第2項第1号における「営利を目的としないもの」に抵触するのですか。
【第2条2項1号】
「営利を目的としない」とは、法人が得た利益を社員に対して分配しないことを指すものであり、NPO法人が「借入金」に適正な利息をつけて返済する「金銭消費貸借契約」を締結すること自体は問題ないと考えます。ただし、利息の水準が利益の分配に当たるかどうかについては、市場における通常の利率の相場のみならず、契約に至った事実関係等も含めて総合的に判断する必要があるものと考えます。
お尋ねのケースにおいては、年1%と、市場におけるローン利率と比して高いわけではないことから、契約に至る過程において悪意性、不正性が認められないようであれば、当該契約は適正であると判断してよいものと考えます (なお、当該契約が、一対一の関係で契約を取り交わして受け入れる「借入金」ではなく、「擬似私募債」(注)として複数口に分けて一定の資金を調達するものである場合、これを「不特定かつ多数の者」に対して募集すると、「擬似私募債」として認められず、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」 第2条第1項に違反する可能性があるため、同法を所管する金融庁への確認を要するものと考えます)。
(注) 「擬似私募債」とは、社債の少人数私募債に準じた形で発行するもので、利息制限法・出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律等の関係法令及び各種業法をクリアした民法上の証拠証券、すなわち、金銭消費貸借契約の証書であり、NPO法人等も発行することができるものです。
2-4-10 NPO法人がグリーンエネルギーによる売電を目的とした事業を行うに当たって、NPO法人自身が、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)に 定める「第二種金融商品取引業者」の登録を行い、出資金を募ることは可能ですか。 【第2条2項1号】
法上、「出資金」の受入れの制限については明文化されていませんが、株式会社における配当の受け取りを目的とするような、利益の享受を前提とする「出資金」制は、営利を目的とせず、その剰余利益を全て団体自身の活動に充当するNPO法人においては、認められないものと考えられます。
また、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」第2条においては、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」と規定されており、法においては「特別の規定」は定められていないことから、預り金としての受け入れもできないものと考えます。