共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション【1】 – 1

パネルディスカッション【1】 「NPO法施行15年の回顧と共助社会の時代に向けて」

共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション【1】 様子2

目次

  1. 自己紹介、NPOとの関わりについて
  2. この15年間の変化、足りない点とその原因・課題等について
  3. 寄附文化、ボランティア文化の醸成、市民参加の促進のために何が必要か
  4. ソーシャルビジネス、企業による社会貢献活動の今後の展開への期待

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1.自己紹介、NPOとの関わりについて

【山岡氏】
回顧ということですが、旧来、公益法人は明治29年制定の民法に基づき、主務官庁の許可によって設立され、また、主務官庁によって監督がなされていました。1980年代後半、私は新しい市民活動の助成を始めるにあたり、この主務官庁制という枠の中では日本には市民社会ができないのではないかと思い、研究会や勉強を重ねました。その中で、90年代の初め頃まで、民法を根本的に変え、主務官庁制廃止に向けて本格的に取り組むことと、主務官庁制の枠の中、特別法の中で対応することの2つの案を考えてまいりました。92年には新しい仕組みについて、行政と議論をしたことがあります。

こうした中、95年に阪神・淡路大震災が発生し、新しい仕組みが必要との認識が高まり、まずは特別法の中で新しい非営利法人の制度を作るという動きが出てきました。その中で、98年3月19日、特定非営利活動促進法(NPO法)が議員立法で成立し、その年の12月1日に施行されました。私はNPO法の概念を市民公益の確立と呼んでいます。その後、大幅な改正が行われて、2012年4月1日に改正法が施行されています。

一方、民法で定められていた公益法人制度も抜本的改革がなされ、08年12月に法律が施行され、新制度に移行しております。

現在はNPO法人制度と公益法人制度の2本立てで、市民セクターが成り立っていますが、将来、これがどうなるのかが非常に重要になると思います。

【松原氏】
回顧ということですが、阪神・淡路大震災前の92年頃から、非営利団体の活動をどうやって社会的に認知させていくか、また、日本に10,000以上ある任意団体や社会貢献活動をしている団体が抱えている色々な問題にどう対応していくかという議論がありました。

こうした中、阪神・淡路大震災をきっかけとして、多くの団体・議員・政府が一体となってり組み、98年にNPO法ができたわけです。

私が所属するシーズという団体は、NPO法、認定NPO法人制度、NPO法人の情報公開制度、この3つの制度を作ることを目標として、94年に作られた団体です。2011年の大改正もあり、ほぼ目標達成という状況ですが、NPO法人の第一フェーズが終わって、いよいよ次のフェーズを迎えるにあたっての新しい仕組みづくりが今後の課題だと考えています。

【佐藤氏】
1980年頃より、企業は社会的責任を意識するようになりました。その具体的内容は曖昧だったわけですが、91年に経団連が制定した企業行動憲章の中で、「企業は良き企業市民として、積極的に社会貢献活動を行う」ということを提唱しています。それを具体化する組織として1%(ワンパーセント)クラブが位置づけられているわけです。

1%クラブは90年、経常利益や可処分利益の1%以上を自主的に社会貢献活動に拠出することに努める企業と個人の組織として、経団連が設立したものです。その活動目的は、社会貢献活動を行う企業・個人の支援、寄附やボランティア活動に対する機運の醸成、NPOと企業・個人を結ぶコーディネーターの役割を果たそうというものです。具体的には、社会貢献活動実績調査の実施、セミナーやシンポジウム、交流会の開催、企業向けニュースの発行、大規模な災害発生時に、義援金・支援金等を会員企業に要請するといった活動を行ってきました。

阪神・淡路大震災に際しては、被災地の人々を応援する市民の会の一員として救援活動に参加し、物資の提供やボランティアの派遣等を企業に呼びかけました。大規模自然災害の時にNPOの活動が素晴らしいと気づき、NPOが活動しやすい環境整備や企業とNPOの連携を強めていこうと考えたわけです。

98年のNPO法制定に当たって、当時の1%クラブ会長が国会で参考人陳述を行うなど、NPO関係者の皆様と一体になって、法制化に向けて積極的な働きかけを実施してまいりました。2000年代に入ると、企業の社会貢献活動はCSRの一環という認識の下、金銭の寄附のみならず、本業を活かした物資・サービス、人的資源の提供を通じた支援等も行ってきました。

実施にあたっては、企業とNPOとの協働が重要であるとの認識が高まっており、1%クラブとしても、企業とNPOとのネットワークづくりを継続的に実施してまいりました。具体的には、国内災害支援の対応として、04年の中越地震を機に、05年の1月に設置された通称CNP、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議に参加し、それ以降、台風や集中豪雨、地震災害発生の際に、迅速な支援体制を組んで、NPOの皆様と一緒に活動してきました。

また、海外においては、ジャパン・プラット・フォーム様と共に、スマトラ沖大地震への支援をしてまいりました。

東日本大震災の際には、これまでの1%クラブで培ってきたNPOや企業との信頼関係を活かして活動し、支援金の募集、災害ボランティアセンター立ち上げの資機材の提供、企業人ボランティアプログラムの企画など、スピード感を持って円滑に行うことができました。また1%クラブは、東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)に協力団体として参加し、現地情報を企業にいち早く提供し、会員企業からも大変役立ったと評価をいただきました。

 

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