共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション【1】 – 2

パネルディスカッション【1】 「NPO法施行15年の回顧と共助社会の時代に向けて」

共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション【1】 様子3

目次

  1. 自己紹介、NPOとの関わりについて
  2. この15年間の変化、足りない点とその原因・課題等について
  3. 寄附文化、ボランティア文化の醸成、市民参加の促進のために何が必要か
  4. ソーシャルビジネス、企業による社会貢献活動の今後の展開への期待

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2.この15年間の変化、足りない点とその原因・課題等について

【山岡氏】
この15年間の年平均NPO法人認証数の推移のグラフを御覧いただくと、最初の5年はかなり少なかったが、次の5年で大きく増えたということがわかると思います。その後の5年は、一般公益法人制度ができ、一般法人はNPO法人と類似の仕組みであったこともあり、認証数が減っております。同時に解散数が急激に増えております。

ボランティア、寄附を身近にしていくことが今後の大きな課題だと思っています。NPOの信頼性が3割から6割になったのは非常に重要なことですが、NPO法人だけでなく非営利セクター全体としての信頼性確保に向けた努力が必要と考えます。

【松原氏】
これからの15年を考えた時に、寄附税制は誰のためにあるのかということがもっと大きな問になってくるだろうと思っています。NPO法ができる前は、市民による自由な社会貢献活動といっても、よくわからないものだったのですが、NPO法が確立することにより、行政とは違う価値観や未来の価値観も公益と認めていくという流れが根付いていきました。また、行政とNPOとの対等関係、企業とのパートナーシップも確認されました。

さらに、ボランティア活動の世界に非営利組織の概念が持ち込まれ、自立的経営やマネジメントの必要性、雇用の概念が確立されました。

ほかにも、NPOが行うビジネスや寄附への認識を肯定的なものに変化させたことが大きいと思っています。また分野別・縦割だった市民活動の世界に、共通の基盤を構築していこうという流れを作ったことが、日本における新しい市民社会が誕生するきっかけになり、その後の公益法人改革にも大きな影響を与えたと思っています。

しかしながら、依然として課題はあります。NPO法人は、市民同士の参加・協力の仕組みという形で考えられたものであり、市民からの信頼を得るために、NPO法人自身が行政を使って情報開示をしていこうというスタンスで制度設計を提案していきました。事業体としては確立しつつありますが、参加・協力はまだ不十分です。ソーシャルビジネスに関しても、参加・協力無しには、成長は望めないと考えております。

NPOに最も期待されていることは、人と人との新しいつながりを作るということですが、それに応えられているのか、寄附制度やボランティア活動はNPO法人のためなのか、それとも参加する人のためなのか、これが今後のあり方の鍵になるかと思っています。

【佐藤氏】
我々企業から見たNPOとの関係という点で、1%クラブが実施している社会貢献活動実績調査の02年と11年の比較を見ると、NPOと接点を持つ企業の割合、寄附の実施、協働事業の実施の全ての面で数値は伸びており、特にNPOとの協働が大幅に増加しております。

東日本大震災を機に、企業人のボランティアについての関心が非常に高まり、延べ18万人の方々が震災ボランティアに参加しています。

企業側も、NPOと協働プロジェクトを実施し、持続できる活動を行いたいと思っているわけですが、どのNPOと組めばいいのか、どうアプローチすればいいのかがわからないことも多いことから、NPOと企業、市民等をつなぐコーディネーターとして、中間支援組織の果たす役割は大きいと思います。

私としては、このような中間支援組織ができることによって、企業とNPOとの連携が非常にスムーズに進むようになったと評価したいと思います。

弊社の損保ジャパンでは、SAVE JAPANプロジェクトという希少生物保護運動を行っています。日本全国のNPOとの接触は難しかったのですが、日本NPOセンターの仲介によって、全ての県で中間支援組織を介して、NPOと連携して活動することができました。

 

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