共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション 【3】 – 3

パネルディスカッション【3】 「共助時代の社会貢献 – CSRやプロ簿のの未来像」

共助社会づくりシンポジウム パネルディスカッション【3】 様子4

目次

  1. 自己紹介と各企業の取組について
  2. 企業のCSR、CSVに対する姿勢(その1)
  3. 企業のCSR、CSVに対する姿勢(その2)
  4. 今後の共助社会づくりに向けて

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3. 企業のCSR、CSVに対する姿勢(その2)

【深尾氏】
企業とNPOとの境目がなくなってきているということは、いろんなセッションで聞こえてくるのですが、社会の課題を解決していくためのパートナーとしての在り方が変容してきています。

いままでは、お金をもらいに行くという発想が強かったのですが、いかに企業と一緒に価値を作り出していくか、課題解決をしていくか。そのような提案力がNPO側にないとだめだろうと思います。社会課題の解決は何もNPOだけでやる必要はなくて、課題発見力の強みをNPOは持っていて、それを生かす必要があると思います。

さて、岡田さんの話ですと、NPOと協定を結ばれているということですが、それはどういうものでしょうか。協定についてはNPOの方が積極的にアプローチしてきたのか。それとも、三菱地所の方が進めて行ったのか。どういうプロセスなのでしょうか。

【岡田氏】
我々は会社ですので、お金をかけるとなると、そういうものがないと駄目だと思います。例えば、計画については、えがおつなげてさんからこの3年間はこうやりましょうという提案をいただいて、それはまさに実現してきています。提案と、私たちが一緒に形にしていきましょうという想いから、連携協定は意味があると思っています。

【深尾氏】
今のことは、NPO側の提案力について、会社の本業とどのように結び付けるかということについて、ある程度踏み込んだ提案が重要だということだと思います。
境がなくなってきているということは、ボーダーを越えていくということです。椎川さんにお伺いしたいのですが、プロボノというキーワードが出てきます。飛び出す、ボーダーを超えていく点について、本来、公務員は地域に飛び出していないとだめなのではないかと思うのです。

そういったものが必要な背景と、飛び出した人たちが、どのように地域社会にインパクトを与えているのか。公務員生活で培ってきた、経験や人脈をどう社会に活かしていくか、これからの社会重要になっていきます。キャリアをずっと積み上げてきた椎川さんがこの領域で今活躍している意味合いをお教えください。

【椎川氏】
小さな地域社会では、分業がある意味で非効率な実態があります。色々な人が色々な仕事をやったり、あるいは、お金を出し合ったりしながら地域の課題を解決していかなければならない。しかし、だんだん組織が大きくなってくる地域で、サラリーマン化して、分業体制の中で公務を担って、行政とは公平なものでなければならないのだから、距離を置いておくべきだと勘違いしている人が多いのです。

公務員個人というのは地域では非常に重要な人材です。公務員が空いた時間に、自分の趣味だけではなく、地域貢献活動をしてもらわないと地域そのものが持たないという地域が、たくさん出てきているわけです。それは、企業も同じだと思います。そうしないと日本の小さな地域はもたないのです。

では、どうすればいいのか。公務員の意識改革が必要です。住民共同や共助社会づくりなど、行政のホームページにはよく書いてありますが、実際に担当している人はちゃんとやっているのか。実践をしていない人が言ってもうまくいくのか。実践活動を重視することで公務員が地域課題の解決に個人として取り組む。これが、特に小さな社会では欠かせないことだと思います。

国家公務員は最初、期待していなかったのですが、今は260名入っています。NPO活動など社会活動などやっている人が増えてきている。地方公務員はやらざるをえないので、多くの人々が入っていますが、教員や出向して公務にかかわった人、逆に企業に出向した人など色々な人が入ってきています。

そして、公務組織の風土改革、公務員の信頼改革になるため取り組んでいます。この趣旨に賛同して、そんな公務員を応援しなければならないという首長の連合ができました。例えば、佐賀県の古川知事。佐賀県は、プラスワン運動をしています。これは民間の方も公務員の方も仕事以外に何か1つ社会に貢献できることをしましょうという運動です。

ほかにも、自己申告による活動の評価、社会貢献による社会の活動を進めていく首長さんがおり、毎年1月の末にサミットを開いています。そういった動きをもっともっと全国に広げていきたいというのが私の考えです。

【深尾氏】
ボーダーを超えていこうという話や、何のために企業活動を行っているのかという原点を見失わないことは非常に重要だと思います。今の公務員の立ち位置もそうですが、そもそも、企業は何のために存在しているのか、企業とは誰のためのものかという論争が社会の中でもありました。やはり、東日本大震災を契機にそういう社会とのつながりがより濃くなっていくということもあると思います。

いろんな社会の存在が変わってきている中でNPOがどう変わっていくのかの議論や、仕掛けづくり、私たちが変化に対して、NPO側がどう提案するか、一皮も二皮も剥いていかないといけないことが4名の話から伝わって参りました。そして、そのような存在とどうパートナーシップを組むのかが重要です。

小川さんにお伺いします。キャパシティビルディングをやっていらっしゃると思いますが、小川さんから見てNPOにもっとこう変わりなさい

わりなさいという愛のむちがあれば、教えていただきたいと思います。

【小川氏】
おこがましいところはありますが、これまで十数年間キャパシティビルディングをやってきました。プログラムの見直しは随時行っていますが、最近の見直しの中で、組織診断を加えました。

日本NPOセンター顧問の山岡さんの話を拝借していうと、泥船かどうか、健全な船かどうかということを組織診断して、自分たちが今どういう状況にあるのかをきちんと見ることが大事です。そして、自分の組織を第三者から厳しく評価していただくことが、必要であり、重要であり、効果的であると思います。

 

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